2012年の旧作たち

「どうして今まで見ていなかったのだろう」な作品たち。
今年見たので、おおめに見てやって下さい。

毎日かあさん(通常版) [DVD]

毎日かあさん(通常版) [DVD]

毎日かあさん』(2011年)
監督:小林聖太郎
素晴らしかった。劇場で絶対に見ておくべきだった。戦争という絶対的な「非日常」を知ってしまったが故に「日常」を生きることができなくなってしまった父親とその家族。そうであるが故に、一瞬の間だけ訪れる「日常」が狂おしいほどに愛おしくなる。ごくごく普通の「家族」を生きることが不可能であることを家族全員が知っているが故に、それでもなお「家族」を「生きよう」と必死になってもがく主人公ら(永瀬正敏小泉今日子、彼/彼女はかつては結婚していたのだ!)の姿に心打たれる。黒沢清監督の傑作『人間合格』にも通ずるものがある。テーマは極めて重いけれども、ところどころにユーモアがちりばめられ、とても素晴らしい作品。これは必見です。

ミリオンダラー・ベイビー [DVD]

ミリオンダラー・ベイビー [DVD]

ミリオンダラー・ベイビー』(2004年)
監督:クリント・イーストウッド
個人的には、『グラン・トリノ』に並ぶ大傑作やと思います。
徹夜明けの朝型に見ていて、感極まってちょっと泣いちゃいました。
意外にも「好き嫌い」が分かれる作品。いや意外です。(蓮實重彦ヒラリー・スワンクが良くないと言っていた気が・・・笑)

ドイツ零年 [DVD]

ドイツ零年 [DVD]

『ドイツ零年』(1948年)
監督:ロベルト・ロッセリーニ
初めてみたロッセリーニ監督作品。第二次世界大戦後のドイツの荒廃した状況を主人公の少年のなかに描き込み、戦争という熾烈な出来事によって廃れる/廃れた「人間性」を見事に写し出す。ある意味で極めてジャーナリスティックな作品だと思う。
「子ども」と言えば、トリュフォーのデビュー作『大人は判ってくれない』(1959年)も見たけれど、こちらは(テーマ的には好きなのだが)何かあまり訴えかけてくるものがなかった。

ゴダール・ソシアリスム』(2011年)
監督:ジャン=リュック・ゴダール
ゴダール初のデジタルキャメラによる作品。いつも通り難解である事に変わりはないけれども、圧倒的な映像美が体験できる。これがブルーレイのみでの販売というのにも納得できる。とにかく美しい。見て損なし。
ただしゴダール言語であることを忘れるなかれ。

スマイルBEST プレステージ スタンダード・エディション [DVD]

スマイルBEST プレステージ スタンダード・エディション [DVD]

プレステージ』(2006年)
監督:クリストファー・ノーラン
複製技術としての「映画」は、どのような原理によって駆動しているのかということを考えたいのだと思う。たぶん・・・。サスペンスフルな内容で楽しめると同時に、メタな視点が入っており、これぞノーラン作品と言わせる一本。『ダークナイトライジング』観賞後に、怒りに駆られてみて、その怒りを少し沈めることができたのですw

Landmarks of Early Films 2 [DVD] [Import]

Landmarks of Early Films 2 [DVD] [Import]

"Landmarks of Early Film Volume2"
監督:ジョルジュ・メリエス
SF映画父メリエスの作品集。今年は『月世界旅行』110周年誕生祭ということでマーティン・スコセッシ監督『ヒューゴ』とドキュメンタリー映画『メリエスの素晴らしき映画魔術』が公開されており(どちらも面白かったです)、改めてメリエスの作品集を見てみた。メリエスの作品や初期映画は、youtubeで結構色々と見れるみたいだけど、メリエスに敬意も込める意味でDVDを購入した。うん、SF映画好きな人は、是非、メリエスの作品集は見るべきっすよ。既視感が半端ないっすから。凄いことですよ。SF映画の歴史は、メリエス作品の反復と洗練の歴史だった・・・は言い過ぎかもしれませんが。


来年は、ゴダール作品とヒッチコック作品の踏破が目下の主要課題でございます。