2013年の旧作たち Vol.1

「どうして今まで見ていなかったのだろう」な作品たち。
今年見たので、おおめに見てやって下さい。

極私的状況
今年も未見だった映画、新たに発見した映画、見返した映画など多数。特に記憶に残ったものは、下記の作品群。
去年ここに書いた、ヒッチコックゴダールの攻略は、なされず・・・(DVDは買ったんやけど笑)。まあ、気が向いたら見る。
それにしてもつくづく思ったことは、見たい作品が気軽に見れるような環境にはまだまだなっていないということ。
地方のレンタル屋さんは、置いてある作品が絶望的に偏っている。前衛映画であったりアート系と呼ばれるような作品は、ほとんど皆無。かといって県立や市立の大きい図書館でも蔵書(という使い方が正しいのか分からんが)はないし、もう学生ではない僕は大学の図書館も利用できるわけではなく・・・。当然のことながらネット配信されてるわけでもない。
見るためにはDVD(Blu-rayにはまだあまりなってない)を入手するしかないのだが、街のCD&DVD屋さんの品揃えは目を背けたくなるほどの惨惨たるもの。結局、アマゾンで買うはめになるわけだが、アマゾンでも高値が付いてしまうともはや絶望的になる。あるいはそれを買うほどの経済力があるわけではなく、途方に暮れたのは何度だろう・・・。地道に一つずつ入手していくしかないのか、あるいは他に何か方法はないかと思案中。
(これは余談だが、僕はDVDであれCDであれ本であれリアル店舗で買うことが好きな人間なので、この状況は、とても悲しい。今年何度、東京に帰りたいと思ったことか・・・笑)。
複製技術について、色々と考えさせられる一年でした。

とても印象に残った作品は下記の通り。

ミシェル・ゴンドリー作品
とりわけ
エターナル・サンシャイン

僕らのミライへ逆回転

は素晴らしかった。
ゴンドリー作品は「記憶」や「夢」をモチーフとして映画そのものを語ろうとするメタ構造になっていて、面白い(趣向は全く違うけども、クリストファー・ノーラン的である)。それと細部というかさすがMTV出身者であるだけに小道具のグロテスクさとかわいらしさは絶妙。それに選曲も良い。『TOKYO!』の短編は全く好きになれなかったけど、長編はとてもgoodでした。

ジャン・リュック=ゴダール監督
『中国女』

予告動画なし

天才、ゴダール。まだ全ての作品をみたわけではないけれども、今のところ、これが一番好き(『ヒア&ゼア こことよそ』も大好きですが)。革命の「不可能性」を語ることで、革命「的」になることを宣言する政治映画。めちゃくちゃ面白く、映像も何から何までかっこいい。
副読本として廣瀬純『絶望論』を傍らにおいて。


ストローブ=ユイレ監督
ルーヴル美術館訪問』『セザンヌ

予告動画なし

難解。浅田さんやハスミンの解説を読んでいなかったらチンプンカン。ストローブ=ユイレが目指すのは、ゴダールが言うところの「正しい映像なんてない、単なる映像さ」の真逆をゆく「正しい映像」と「正しいイマージュ」を提示すること。ショットとショットの連結、音響の使い方、カメラを遊ばせることなくほぼ全編固定されたショットは緻密な計算と練り上げられた「意図」を感じさせる(しかし、それを把握することができない)。そこに美術史やセザンヌ論で重要とされるガスケ『セザンヌ』のテクストが読み上げられていく。「面白いか?」と聞かれれば「いや、面白くない」と素直に答えてしまうが、しかし、何か強烈に惹き付けられるものがあり、何度も繰り返し見たくなる。来年前半は、ストローブ=ユイレの解読。


今まで以上に良い作品に出会えるという、
根拠はないが、揺るぎない確信だけが、
来年も私を映画の世界へと誘う。