2014年のシネマ 後半

2.July.
ジュエル・イーサン・コーエン監督『インサイド・ルーウィン・デイヴィス』★★☆
@伏見ミリオン座

4.July.
エヴァ・イオネスコ監督『ヴィオレッタ』★★★
名古屋シネマテーク

9.July.
スパイク・ジョーンズ『her』★☆☆
@伏見ミリオン座

12.July.
七里圭監督『眠り姫』★★★
名古屋シネマテーク

17.July.
ワン・ビン監督『収容病棟』★★★★
名古屋シネマテーク

14.Aug.
カルロス・レイガダス監督『ハポン』★☆
名古屋シネマテーク

18.Aug.
フィリップ・グレーニング『大いなる沈黙へ』★★☆
@名演小劇場

3.Sep.
米林宏昌監督『思い出のマーニー』★★★★
@ミッドランドスクエアシネマ

11.Sep.
イエジー・スコリモフスキ監督『ムーンライティング』★★★★
    〃         『シャウト/さまよえる幻響』★☆
    〃         『出発』★★☆
名古屋シネマテーク

クリント・イーストウッド監督『ジャージー・ボーイズ』★★★★
@ミッドランドスクエアシネマ

23.Oct.
サラ・ポーリー監督『物語る私たち』★★★★★
フィリップ・ガレル監督『ジェラシー』
名古屋シネマテーク

2014年のシネマ 前半

12.Jan.
黒沢清監督『Seventh Code』★★★★ 
@センチュリーシネマ

22.Jan.
トーマス・イムバッハ監督『終わりゆく一日』★★☆
名古屋シネマテーク

26.Jan.
テオ・アンゲロプロス監督『エレ二の帰郷』★★★☆
@ピカデリー

30.Jan.
グザヴィエ・ドラン監督『マイ・マザー』★★☆
名古屋シネマテーク

ギヨーム・ブラック監督『女っ気なし』★★★★★
       同時上映『遭難者』★★★★★
名古屋シネマテーク

20.Feb.
ロウ・イエ監督『パリ、ただよう花』★★☆
名古屋シネマテーク

25.Feb.
マシュー・ヴォーン監督『キックアス/ジャスティス・フォーエバー』★★★☆
@ミッドランドシネマ

28.Feb.
井口奈己監督『ニシノユキヒコの恋と冒険』★★★★★
@伏見ミリオン座

10.Apr.
アブデラティフ・ケシシュ監督『アデル、ブルーは熱い色』★★★★★
@伏見ミリオン座

11.Apr.
ヤン・オーレ・ゲルスター監督『コーヒーをめぐる冒険』★★★
名古屋シネマテーク

17.Apr.
ジョシュア・オッペンハイマーアクト・オブ・キリング』★★★★
@名演小劇場

28.Apr.
マーク・ウェブ監督『アメイジングスパイダーマン2』★★★
@ミッドランドシネマ

30.May.
ジャック・タチ映画祭 『プレイタイム』『ぼくの伯父さん』『左側に気をつけろ』『トラフィック』など ★★★★★
名古屋シネマテーク

15.June.
ウェス・アンダーソン監督『グランド・ブタペスト・ホテル』★★★★★
@伏見ミリオン座

20.June.
ジャ・ジャン・クー監督『罪の手ざわり』★★★★
名古屋シネマテーク

27.June
ウォーリー・フィスター監督『トランセンデンス』☆
@ミッドランドスクエア

28.June
ダグ・リーマン監督『All You Need is Kill』★★★★
@ミッドランドスクエア

2013年に読んだ本あれこれVol.1

今年はあまり沢山は読むことができなかったけど、今後も繰り返し読み返したい素敵な本に何冊も出会えました。来年もどんな本に出会うか楽しみでござんす。

◯小説関連
小説は、文句なくこれでした。

ローラン・ピネ『HHhH プラハ、1942年』
評判通り、むちゃくちゃ面白かった。たんなる歴史小説ではなく、歴史小説がどのように生まれるか、それを書く作者の意識とはどのようなものか、歴史がまさに言語として立ち現れてくるその瞬間に読む者が遭遇する・・・。多少入れ組んだ構図になっているけれども、とても読み易く、かつ真摯な歴史倫理を主題とする本書は、稀有な傑作。今年はこれ以外に一位にはなりえない。

あとヘンテコリンな「小説」というのかなんというのかよくわからんけど、これ↓

デイヴィット・マークソン『これは小説ではない』
実験小説(前衛小説?)の部類のなのか、よーわからんが、とにかく奇書。中身はとにかく自分の目で確かめてみて欲しいのだけど、とにかく意味不明な本(小説と呼ぶのはダメなのかもしれん笑)。でも、なんだかよくわからないけど、ドンドン読んでいってしまう。結末において何かわかるのかしらんと思って読み進めても、唐突に終わってしまう。いや、「唐突」というのは、こちら読み手の力の問題なのかもしれんが、とにかく意味不明すぎて逆に面白くなってくる。こんなもの初めて読んで、ある意味で衝撃を受けたので。評論や批評を待つところ。

◯芸術/美術関連

本書を映画本とするのは、正確ではないのかもしれないが、ゴダール『映画史』から始まりマネを読むフーコーマラルメキットラーとメディア論、ストローブとユイレなどについて言及していく。とても面白い。なかでもキットラー並びにメディア(史)論的な歴史認識が、デリダが批判する「現前の形而上学」を密輸入しておりそこに無頓着というか、キットラーとメディア(史)論の「杜撰さ」があると批判する箇所はとても面白い。ついぞ積んどく状態のままとなっているキットラー『グラモフォン・フィルム・タイプライター』をいい加減に読まないとな、いや読みたいなっと思った次第(あとデリダ『声と現象』)。それともう一度、ちゃんと『映画史』も見返したい。


ニコラ・ブルネーズ『映画の前衛とは何か』
そもそも「前衛」とは何か?というところから議論を起こしながら、前衛映画史をとても簡潔に述べつつ、その特徴や特性、そして前衛映画が含みもつ「可能性」を抽象的な話に陥ることなく記述する、とても良書だと思う。映画のリストも載せてくれているのが、素晴らしいのだが、実際にどれぐらいの作品を日本で見ることができるのか・・・。前衛映画祭とか面白そうだな、見に行きたいなと思った次第。日本人監督による映画も多く紹介されている。


今年はフランシス・ベーコン展があったからであろう念願の復刊。ベーコンの絵画はもちろん素晴らしく、大好きなのですが、彼の仕事をある意味では規定しているともいえる、そのメディア史的な認識は大変興味深く、それがとてもよく現れているように思えるのが本書。
是非とも一緒に読みたいのが、やはりドゥルーズ『感覚の論理』。「形態、輪郭を救い出すこと」ことがベーコン絵画における一つの目的であることを喝破するドゥルーズによるベーコン論は、具象絵画でもなく抽象絵画でもない、その中間項に屹立するベーコン絵画のなかに、ドゥルーズ自身の哲学的実践を感じ取ったということでしょうか。。。

2013年のベスト3とワースト洋画

極私的状況

ベスト3
レオス・カラックス監督
ホーリー・モーターズ

グザヴィエ・ドラン監督
『わたしはロランス』

ミシェル・ゴンドリー監督
『ムード・インディゴ』


ワースト映画
マーク・フォスター監督
ワールド・ウォー・Z

リドリー・スコット監督
『悪の法則』

2013年の旧作たち Vol.1

「どうして今まで見ていなかったのだろう」な作品たち。
今年見たので、おおめに見てやって下さい。

極私的状況
今年も未見だった映画、新たに発見した映画、見返した映画など多数。特に記憶に残ったものは、下記の作品群。
去年ここに書いた、ヒッチコックゴダールの攻略は、なされず・・・(DVDは買ったんやけど笑)。まあ、気が向いたら見る。
それにしてもつくづく思ったことは、見たい作品が気軽に見れるような環境にはまだまだなっていないということ。
地方のレンタル屋さんは、置いてある作品が絶望的に偏っている。前衛映画であったりアート系と呼ばれるような作品は、ほとんど皆無。かといって県立や市立の大きい図書館でも蔵書(という使い方が正しいのか分からんが)はないし、もう学生ではない僕は大学の図書館も利用できるわけではなく・・・。当然のことながらネット配信されてるわけでもない。
見るためにはDVD(Blu-rayにはまだあまりなってない)を入手するしかないのだが、街のCD&DVD屋さんの品揃えは目を背けたくなるほどの惨惨たるもの。結局、アマゾンで買うはめになるわけだが、アマゾンでも高値が付いてしまうともはや絶望的になる。あるいはそれを買うほどの経済力があるわけではなく、途方に暮れたのは何度だろう・・・。地道に一つずつ入手していくしかないのか、あるいは他に何か方法はないかと思案中。
(これは余談だが、僕はDVDであれCDであれ本であれリアル店舗で買うことが好きな人間なので、この状況は、とても悲しい。今年何度、東京に帰りたいと思ったことか・・・笑)。
複製技術について、色々と考えさせられる一年でした。

とても印象に残った作品は下記の通り。

ミシェル・ゴンドリー作品
とりわけ
エターナル・サンシャイン

僕らのミライへ逆回転

は素晴らしかった。
ゴンドリー作品は「記憶」や「夢」をモチーフとして映画そのものを語ろうとするメタ構造になっていて、面白い(趣向は全く違うけども、クリストファー・ノーラン的である)。それと細部というかさすがMTV出身者であるだけに小道具のグロテスクさとかわいらしさは絶妙。それに選曲も良い。『TOKYO!』の短編は全く好きになれなかったけど、長編はとてもgoodでした。

ジャン・リュック=ゴダール監督
『中国女』

予告動画なし

天才、ゴダール。まだ全ての作品をみたわけではないけれども、今のところ、これが一番好き(『ヒア&ゼア こことよそ』も大好きですが)。革命の「不可能性」を語ることで、革命「的」になることを宣言する政治映画。めちゃくちゃ面白く、映像も何から何までかっこいい。
副読本として廣瀬純『絶望論』を傍らにおいて。


ストローブ=ユイレ監督
ルーヴル美術館訪問』『セザンヌ

予告動画なし

難解。浅田さんやハスミンの解説を読んでいなかったらチンプンカン。ストローブ=ユイレが目指すのは、ゴダールが言うところの「正しい映像なんてない、単なる映像さ」の真逆をゆく「正しい映像」と「正しいイマージュ」を提示すること。ショットとショットの連結、音響の使い方、カメラを遊ばせることなくほぼ全編固定されたショットは緻密な計算と練り上げられた「意図」を感じさせる(しかし、それを把握することができない)。そこに美術史やセザンヌ論で重要とされるガスケ『セザンヌ』のテクストが読み上げられていく。「面白いか?」と聞かれれば「いや、面白くない」と素直に答えてしまうが、しかし、何か強烈に惹き付けられるものがあり、何度も繰り返し見たくなる。来年前半は、ストローブ=ユイレの解読。


今まで以上に良い作品に出会えるという、
根拠はないが、揺るぎない確信だけが、
来年も私を映画の世界へと誘う。

2013年の旧作たち Vol.1

「どうして今まで見ていなかったのだろう」な作品たち。
今年見たので、おおめに見てやって下さい。

極私的状況
今年も未見だった映画、新たに発見した映画、見返した映画など多数。特に記憶に残ったものは、下記の作品群。
去年ここに書いた、ヒッチコックゴダールの攻略は、なされず・・・(DVDは買ったんやけど笑)。まあ、気が向いたら見る。
それにしてもつくづく思ったことは、見たい作品が気軽に見れるような環境にはまだまだなっていないということ。
地方のレンタル屋さんは、置いてある作品が絶望的に偏っている。前衛映画であったりアート系と呼ばれるような作品は、ほとんど皆無。かといって県立や市立の大きい図書館でも蔵書(という使い方が正しいのか分からんが)はないし、もう学生ではない僕は大学の図書館も利用できるわけではなく・・・。当然のことながらネット配信されてるわけでもない。
見るためにはDVD(Blu-rayにはまだあまりなってない)を入手するしかないのだが、街のCD&DVD屋さんの品揃えは目を背けたくなるほどの惨惨たるもの。結局、アマゾンで買うはめになるわけだが、アマゾンでも高値が付いてしまうともはや絶望的になる。あるいはそれを買うほどの経済力があるわけではなく、途方に暮れたのは何度だろう・・・。地道に一つずつ入手していくしかないのか、あるいは他に何か方法はないかと思案中。
(これは余談だが、僕はDVDであれCDであれ本であれリアル店舗で買うことが好きな人間なので、この状況は、とても悲しい。今年何度、東京に帰りたいと思ったことか・・・笑)。
複製技術について、色々と考えさせられる一年でした。

とても印象に残った作品は下記の通り。

ミシェル・ゴンドリー作品
とりわけ
エターナル・サンシャイン

僕らのミライへ逆回転

は素晴らしかった。
ゴンドリー作品は「記憶」や「夢」をモチーフとして映画そのものを語ろうとするメタ構造になっていて、面白い(趣向は全く違うけども、クリストファー・ノーラン的である)。それと細部というかさすがMTV出身者であるだけに小道具のグロテスクさとかわいらしさは絶妙。それに選曲も良い。『TOKYO!』の短編は全く好きになれなかったけど、長編はとてもgoodでした。

ジャン・リュック=ゴダール監督
『中国女』

予告動画なし

天才、ゴダール。まだ全ての作品をみたわけではないけれども、今のところ、これが一番好き(『ヒア&ゼア こことよそ』も大好きですが)。革命の「不可能性」を語ることで、革命「的」になることを宣言する政治映画。めちゃくちゃ面白く、映像も何から何までかっこいい。
副読本として廣瀬純『絶望論』を傍らにおいて。


ストローブ=ユイレ監督
ルーヴル美術館訪問』『セザンヌ

予告動画なし

難解。浅田さんやハスミンの解説を読んでいなかったらチンプンカン。ストローブ=ユイレが目指すのは、ゴダールが言うところの「正しい映像なんてない、単なる映像さ」の真逆をゆく「正しい映像」と「正しいイマージュ」を提示すること。ショットとショットの連結、音響の使い方、カメラを遊ばせることなくほぼ全編固定されたショットは緻密な計算と練り上げられた「意図」を感じさせる(しかし、それを把握することができない)。そこに美術史やセザンヌ論で重要とされるガスケ『セザンヌ』のテクストが読み上げられていく。「面白いか?」と聞かれれば「いや、面白くない」と素直に答えてしまうが、しかし、何か強烈に惹き付けられるものがあり、何度も繰り返し見たくなる。来年前半は、ストローブ=ユイレの解読。


今まで以上に良い作品に出会えるという、
根拠はないが、揺るぎない確信だけが、
来年も私を映画の世界へと誘う。

映画『東京家族』


監督:山田洋次

とても見ていられない酷い映画だった。何なのだろう・・・この醜悪なまでのアナクロニズム。とにかく橋爪功が酷い。酷すぎる。まず言葉使い。どこの時代の人やねんっとずっと突っ込みを入れたくなる。それに少なくとも小津安二郎に対して敬意を表しているのならば、ハスミンの批評集ぐらいは真剣に受け止めないとダメでしょうよ(批評は何のためにあるんだろうか・・・)。何かもうじいさんのマスターベーションをずっと見せつけられているような感じでとても嫌な感じだった。こんなもん捧げられた小津もたぶん、微妙な思いだと思うけどな・・・。